ボタンをひとつ失ったと仮定してみればその意味を理解できよう。
細部であるが故に、時に全体より重要となり、全体を破壊することも、又異なった意味をあたえることもできる。服飾という人間の文化と欲望の歴史のなかで、その鏡/レンズ/眼となりうる。ボタンをはずすことで秘密があらわになることもあるが、掛け違うことで困難が出現することもある。
20世紀においては、ボタンは手工芸品から工場生産品へと変化してきた。その変化は、素材や加工の技術革新の側面から、またモードやファションとの関係からみた文化史的側面からという、両面からのアプローチが可能である。小さなオブジェであるが故に、時代の流行を鋭敏に反映し、新しい素材もボタンには実験的に用いられやすい。
